後遺障害等級9級における症状、慰謝料相場を増額する方法とは?
2018/04/24

この記事の監修弁護士
四ツ橋総合法律事務所 代表社員 植松 康太
交通事故後の後遺症でお悩みを抱えておられる方、不安を解消するためご遠慮なく当事務所にご相談ください。
後遺障害等級9級に該当する症状には、部位によって異なる1号~17号の分類が設けられています。
また35%もの労働能力喪失率のある9級は、交通事故トラブルにおいて少しでも多くの損害賠償請求を行いたいと考える皆さんの中にも、注目されやすい等級と位置づけて良いでしょう。
今回は、後遺障害等級の9級で獲得可能な慰謝料と、損害賠償を100万円以上増額させられるコツなどを交通事故被害者の皆さんと一緒に確認していきます。
後遺障害等級の9級に認められる後遺症とは?
慰謝料請求にも大きく影響する後遺障害等級認定の9級は、下記のとおりそのパーツによって症状の内容が大きく異なる実態があります。
1号 両眼の視力が0.6以下になってしまったもの
両眼の視力が0.6以下となってしまった時に、後遺障害等級の9級1号が認められる形です。
ちなみに後遺障害等級の認定基準となる視力は矯正視力となりますので、交通事故トラブルによって負ったケガなどにより、メガネやコンタクトレンズを装着しても一般的な視力に届かない場合は、裸眼視力がどうであれ後遺障害等級9級1号と捉えて良いでしょう。
2号 一眼の視力が0.06以下になってしまったもの
交通事故によるケガや病気などにより、片方の目の視力が0.06以下になってしまった場合は、後遺障害等級9級2号に認定される仕組みです。 ちなみに自動車の普通免許については、両眼0.7以上が矯正視力の条件となっています。
しかし一眼でそれぞれ0.3以上もしくは、一眼の視力が0.3に満たない、一眼が全く見えないといった人の場合は、他眼の視野が左右150度以上で視力が0.7以上になるといった要件がつく形となりますので、注意が必要です。
こうした形で後遺障害等級9級に該当するだけの視力低下がある場合は、運転免許の取得や更新にも支障が出るケースが多いと言えそうです。
3号 両眼に半盲症、視野変状もしくは視野狭窄を残すもの
半盲症・視野変状・視野狭窄のいずれかが両方の眼に生じている場合も、後遺障害等級9級3号に認定される形です。
今までと比べて視界の左半分もしくは右半分が見えなくなってしまう症状を、半盲症と呼びます。
これに対して視野変状とは、見える景色の中にボツボツと穴の空いたような形で、見えない部分が出てしまう症状を指す形です。 視野狭窄については、その名のとおり視野が狭くなってしまう症状となります。
4号 両眼のまぶたに著しい欠損が残るもの
まぶたを本人が閉じているのに、角膜が完全に隠れない状態の場合は、後遺障害等級9級4号に認定されます。
5号 鼻を欠損したことにより、その機能に著しい障害を残したもの
顔の中でも前方に突出している鼻は、交通事故による負傷で欠損しやすいパーツと考えられています。 そんな鼻の欠損により機能面で著しい障害が残った場合、基本的に後遺障害等級9級5号の認定が行われます。
また顔の外見に大きく影響する鼻の場合は、欠損の状態によっては後遺障害等級7級12号が認定されるケースも多いようです。
こうした形で単なる機能面だけでなく、人間関係などにも大きく影響する見た目への支障が大きい場合は、きちんとした方法で申請手続きを踏むことにより慰謝料請求などでもより有利になる等級が認められることもあると捉えて良いでしょう。
6号 言語の機能および咀嚼の機能面で障害を残すもの
日々の暮らしに必要不可欠な噛む、話すといった機能に支障が出た場合も、後遺障害等級9級6号の認定が可能となります。
また交通事故による負傷により固形物を一切食べられなくなった等の場合は、更に後遺障害等級認定が上がる可能性もありますので、自分の症状についてより具体的にドクターや弁護士に話をする心掛けも忘れないようにしてください。
7号・8号・9号 聴力に関わる後遺障害
聴力に関する障害については、後遺障害等級9級の中にもその症状によって3つの種類が設けられています。 まず両耳の聴力が50dB以上もしくは純音聴力レベルが60dB以上で、なおかつ明瞭度が最高でも70%以下になってしまった場合は、後遺障害等級9級7号の認定になります。
これに対して周囲の大声も聴こえないほどの聴力で、残った片耳についても1メートル離れた場合は声を聴くことが厳しい時には、第9級8号に該当する形です。
最後に片耳の聴力が完全に失われてしまった場合は、第9級9号の後遺障害等級認定となりますので、交通事故による耳のケガなどにより聴く能力が低下してしまったケースにおいても、自分の症状を冷静に分析かつ伝える姿勢が必要になると言えそうです。
10号 神経系統の精神もしくは機能に障害を残し、服することが可能な労務が相当程度の制限を受けるもの
この等級認定に該当する具体的な症状は、下記の3つが中心となります。
・高次脳機能障害
・脳の器質的損傷を伴わない精神障害
・脳の損傷による麻痺
例えば、交通事故による脳の損傷によって、歩行障害や文字が書けないなどの状況に陥っている場合は、脳の損傷による後遺障害等級9級10号が認められる形です。
これに対して脳に器質的な損傷がないのに、鬱などの精神的な障害によって労働能力が失われた場合は、認定基準で考えれば9級10号に該当する形となるようですが、その原因が交通事故によるものだと証明する必要がでてくると言えるでしょう。
特に交通事故トラブルに遭う前から鬱病などの精神疾患で通院歴等がある場合は、この等級認定と精神障害の関連性を証明するのがかなり難しくなると言えそうです。
11号 胸腹部臓器の機能に障害を残すことにより、服せる労務に相当な制限があるもの
後遺障害等級9級11号に関係する部位としては、下記の5箇所が挙げられます。
・呼吸器
・心臓
・消化器系
・ヘルニア
・泌尿器
大きな交通事故被害に遭えば、こうした臓器の症状が複合的に生じることもありますので、第9級11号の認定を目指すためには、後遺障害等級認定に詳しい弁護士のサポートがあった方が良いと言えそうです。
12号・13号 指の後遺障害に関わるもの
食事や入浴といった身の回りのことをするにも欠かせない指の後遺障害は、その症状が非常に幅広い特徴があります。
また認定基準となる可動域や掌側外転などについては、正常範囲の2分の1以下といった数値的な基準も設けられていますので、自分の指に生じている症状を詳しく整形外科のドクターに伝えることが後遺障害等級認定の第一歩になると言えそうです。
14号・15号 足指に関わる後遺障害
足の指についても、手指と同じようにさまざまな症状が認定基準で想定されています。 しかし足の場合は、切断や可動範囲といったポイントが中心となりますので、一般の皆さんにとっては12号や13号よりも判断のしやすい内容となるでしょう。
16号 外貌に相当程度の醜状が残っているもの
衣類などで隠せず露出しているパーツのことを、外貌と呼びます。
その中でも特に問題となるのは、日常生活では隠すことのできない顔に関する傷痕です。
また外貌に関する後遺障害には、頸部や頭部、上肢、下肢なども含まれる形となりますので、人の目に触れることで精神的ショックが生じるほどの傷痕がある場合は、きちんと認定してもらう必要があると言えるでしょう。
17号 生殖器に著しい障害が残ってしまっているもの
大規模な交通事故に巻き込まれて、生殖器に大部分の欠損や勃起障害、セックスが不可能といった障害が残ってしまった場合も、後遺障害等級9級17号が認められるとされています。
またこのカテゴリの中には、卵管や子宮、頸管といった露出していない臓器も含まれますので、交通事故の規模によっては胸腹部の11号とともに認定申請ができる可能性もあると言えるでしょう。
後遺障害等級9級が認められるとどのぐらいの相場で慰謝料請求ができるの?
後遺障害9級が認められた人の損害賠償額は、「どの基準で算定するのか?」によってその金額が大きく変わる実態があります。 3種類の基準の中で最も慰謝料額の低い自賠責保険の場合、後遺障害9級に認定されても245万円の請求になる仕組みです。
これに対して裁判などでも使われる弁護士基準で後遺障害慰謝料額を算出した場合は、自賠責よりも遥かに高い690万円の請求ができる形です。
ちなみに交通事故被害者が加害者に請求できるお金の中には、入通院にかかった費用や死亡慰謝料なども含まれますので、なるべく高い基準で算出された額で示談交渉を進めていくのがおすすめである理由は明らかだと言えるでしょう。
後遺障害等級9級の人がより高い慰謝料をもらうための増額方法とは?
ここまで紹介した障害や症状を抱えた交通事故被害者の皆さんが納得できる額の慰謝料をもらうためには、「きちんとした等級で後遺障害を認定してもらうこと」と「相手方との示談交渉をしっかり行うこと」の2つのポイントが重要です。
正しい後遺障害等級認定が認められなければ当然、慰謝料額も下がってしまいますので、法律だけでなく医学分野にも詳しい弁護士に相談をしながらより良い手続きを進めていくのが理想となるでしょう。
また相手方の保険会社の多くは「なるべく高い金額を支払いたくない」といった思いで示談交渉を進めてきますので、加害者側の主張に流されないためにも弁護士にサポートを仰ぐことは増額方法としてもおすすめ度が高いと言えそうです。
交通事故
に強い