ドライバー必見!過失運転致死傷罪に関する基礎知識
2016/12/07
この記事の監修弁護士
四ツ橋総合法律事務所 代表社員 植松 康太
交通事故後の後遺症でお悩みを抱えておられる方、不安を解消するためご遠慮なく当事務所にご相談ください。
過失運転致死傷罪とは?
>過失運転致死傷罪とは、日本の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」で定められた過失運転致死罪、過失運転致傷罪の総称です。
自動車運転をするドライバーの過失の場合は、過失運転致死傷罪が適用されます。この犯罪の適用にあたっては、自動二輪車や原動機自転車といったバイクを運転するドライバーについても含まれます。
業務上過失致傷罪との関係は?
業務上過失致死傷罪とは、日本の刑法211条1項に規定がある犯罪です。
そこでの「業務」というのは、職業や仕事を指す一般的な考え方とは少し異なります。
業務上過失致死罪では、「社会生活上の地位にもとづき、継続反復して行なわれる行為」かつ「その中でも、身体生命に危険を生じさせるもの」を業務と定義付けているのです。
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が施行させる前には、刑法上に自動車運転致死傷罪が規定されており、さらにその規定が存在する前には、「業務」の前述のような意味付けより、日々の暮らしの中で行われる私用による運転についても「業務」に該当するものとして交通事故による人の死傷について、業務上過失致死傷罪にあたるものとして処罰されてきました。
業務上過失致死罪に該当する因果関係とは?
業務上過失致死罪が成立するためには、「そのトラブルにおける過失が存在しなければ、被害者は死傷することもなかった」という因果関係が必要となります。
医療過誤を例にとると、処置を行った医師にミス(過失)があったとしても、その前段階で救命の可能性の低い症状が出ていた場合は、ミスがなくても結果が生じていたとして、因果関係がないという理由で業務上過失致死罪は成立しないのです。
自動車運転過失致死傷罪についても同様であり、例えば、自動車運転をしているドライバーのよそ見や前方不注視といた過失行為と被害者の死傷という結果との間に、そのような過失行為がなければ安全に横断できていた歩行者が死傷するという結果が生じることはなかったと考えることが相当である必要があるのです。
業務上過失致死罪で課せられる法定刑とは?
業務上過失致死罪を起こした加害者には、「5年以下の懲役もしくは禁錮」または「100万円以下の罰金」が課せられます。
1968年まで3年だった懲役刑の上限も、5年以下に引き上げられました。また罰金刑についても、平成18年の制度改正により50万円から100万円に引き上げられました。
過失運転致死傷罪の場合は更に重い罪になる
ドライバーの過失により大事故に繋がることも多い過失運転致死傷罪の場合は、「7年以下の懲役もしくは禁錮」または「100万円以下の罰金」という形で、業務上過失致死罪よりも重い法定刑が定められています。
また、過失運転致死傷罪に該当する人身事故を起こした場合は、刑事上の責任に加えて、行政処分や民事責任なども課せられる形となりますので、「心身ともに健康な状態で安全運転を心掛けること」を徹底するようにしてください。
交通事故
に強い