物損事故において精神的損害(慰謝料請求)は認められますか?
2017/01/18
この記事の監修弁護士
四ツ橋総合法律事務所 代表社員 植松 康太
交通事故後の後遺症でお悩みを抱えておられる方、不安を解消するためご遠慮なく当事務所にご相談ください。
物損事故の精神的損害について慰謝料請求はできるもの?
マイカーや住宅、ペットなどに自動車や自転車が突っ込むことで起こる物損事故は、これまで大事にしていた「物」が壊れてなくなるといった意味でも所有者に多大な喪失感と絶望を与える存在です。
そんな物損事故の被害に遭った時でも、精神的損害における慰謝料や損害賠償請求はできるものなのでしょうか?
物損事故の損害は原則「財産的損害のみ」が認められる
交通事故には、「人身事故」と「物損事故」の2つがあります。
人の命や身体のケガにかかわる人身事故の場合は、本人の治療費を含めた財産的損失だけでなく、ケガや死亡によって負ってしまった精神的損害についても損害賠償請求を行なうことが可能です。
これに対して、マイカーや建物、自転車といった「物」を壊してしまっただけの物損事故の場合は、「精神的損害の請求はできず、財産的損害の損害賠償請求だけになる」のが一般的なのです。
物損事故の精神的損害への慰謝料請求が認められた事例もある
基本的には精神的損害への損害賠償請求ができないと考えられる物損事故であっても、稀に裁判所にて被害者の請求が認められた例外とも言える判例が存在するようです。
《ペットが重度のケガを負った場合》 現行法上は「物」と扱われるペットであっても、飼い主のペットへの愛着やケガの状況によっては、慰謝料請求が認められることもあり得ます。
過去の判例の中には交通事故被害に遭ったペットに後肢麻痺の障害が残った事例で、被害者となる飼い主2人にトータル40万円もの慰謝料請求が認められたこともあるようです。
またペットの死亡により5万円の慰謝料が支払われた判例も存在しますので、犬や猫といった動物を相手とした事故であっても誠実な対応が必要だと言えるでしょう。
《自宅を壊された場合》 加害者の乗った車が一般住宅に突っ込み、そこに住んでいた被害者が引っ越しやアパート暮らしを強いられた事例でも2人で60万円もの慰謝料請求が認められています。
被害者が引っ越しの難しい高齢者であったり、転居に伴う借金などの被害を負った場合は、一般的な物損事故であっても多大な精神的苦痛が裁判所で認められると言えそうです。
まとめ
一般的には「精神的損害への慰謝料請求はできない」と考えられる物損事故であっても、事故に伴い巻き込まれたトラブルの状況や被害者の苦悩によっては、請求が認められることもあります。
また近頃ではペットロス症候群などという言葉も登場していますので、被害対象がどんなものであれ、場合によっては慰謝料請求の訴えが起こされると考えた方が良いでしょう。
交通事故
に強い