肩部における外傷と後遺障害
この記事の監修弁護士
四ツ橋総合法律事務所 代表社員 植松 康太
交通事故後の後遺症でお悩みを抱えておられる方、不安を解消するためご遠慮なく当事務所にご相談ください。
肩部の外傷における後遺障害の考え方
交通事故による肩部の後遺障害は、神経症状・機能障害・変形障害という3カテゴリのいずれかで等級認定されるのが一般的です。
肩の傷病としては、筋肉に対する肩挫傷、肩関節周囲炎、骨折や脱臼、腱板損傷といった診断名が挙げられます。
こうした症状が原因となり、痺れや痛み、可動域の制限、機能不全などが残った場合に、後遺障害が認められる形です。
肩部の神経症状と後遺障害
肩部の神経症状で後遺障害等級認定をする際には、下記2つの認定基準で判断を行っていきます。
・12級13号 局部に頑固な神経症状が残っている
・14級9号 局部に神経症状が残っている
この両者における判断の分かれ道は、自覚症状に対して医学的な証明ができているのかどうかです。
事故態様などから見てこうした痛みが生じる可能性が充分にありうると判断された場合は、14級が認められます。
これに対してより高い12級については、他覚的所見により原因が交通事故によるものだと判断する必要が出てくるため、各種生理学的検査やMRI検査、レントゲンなどの結果が欠かせなくなるのです。
肩部の機能障害と後遺障害
肩部の機能障害については、1級・5級・6級・8級・10級・12級という等級が設けられています。
機能障害における等級は、どの関節がどの程度の制限を受けているかによって判断がなされる形です。
健康な肩関節は、屈曲・外転・内転と大きく多様に動く仕組みとなっているため、機能障害にこれだけ多くの等級が用意されているのも納得できると言えるでしょう。
ちなみに制限の有無に関しては、交通事故の影響による症状が出ていない側の可動域と比べて判断を行っていきます。
肩部の変形障害と後遺障害
肩部の変形障害では、7級・8級・12級の3等級が設けられています。
一般的な変形障害は、骨折をした後、骨がくっつかずに回復が止まった状況とも言える偽関節の有無と、骨の欠損や変形の有無によって判断が行われます。
最も高い等級となる7級9号では、1上肢に偽関節が残っており、著しい運動障害が残るものという認定基準です。
ちなみに12級の基準に出てくる長管骨という言葉は、橈骨・尺骨・上腕骨という肩から手にかけて存在する骨のことを指す形となります。
肩部の外傷で後遺障害等級認定を受ける上での注意点
肩部の外傷において後遺障害等級認定を受ける時、最も注意が必要となるのが、6つもの基準が存在する機能障害です。
例えば、最も賠償額が低くなる自賠責基準で比較をしても、1級4号と12級6号では1,000万円もの開きが出る仕組みとなっています。
また後遺障害等級による慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準・裁判基準のどれを選ぶかによっても変わってくるため、注意が必要です。
例えば、1上肢の用を廃したものという基準を持つ5級6号で比べると、裁判基準では1,400万円もの賠償額になるのに対して、自賠責基準では599万円しかでない実態があります。
また後遺障害等級認定は、たったひとつ等級が変わっただけでも数百万円もの慰謝料請求額が変わってくるシステムとなっていますので、今の自分に出ている症状に合ったものを勝ち取ることが必要だと言えるでしょう。
こうした形で一般の皆さんにとってかなり複雑な肩部の後遺障害等級認定で悩んだときには、交通事故トラブルが得意な法律事務所に相談をしてみてください。
法律知識だけでなく医学的知識にも詳しい弁護士は、後遺障害等級に関する手続きだけでなく、加害者との示談交渉もより良い形で進めてくれます。
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