外傷による醜状と後遺障害

この記事の監修弁護士

四ツ橋総合法律事務所 代表社員 植松 康太

交通事故後の後遺症でお悩みを抱えておられる方、不安を解消するためご遠慮なく当事務所にご相談ください。

交通事故による外貌醜状とは?

組織陥没や瘢痕などが体に残ることを、醜状と呼びます。

これに対して後遺障害等級認定にも出てくる外貌醜状という言葉は、外観の目立つ部分に大きな傷痕や組織陥没が起こることを意味する形です。

交通事故被害や火傷といった大怪我を負ったことのない皆さんにイメージのしにくい外貌醜状は、主に頭部・顔面・頸部といった洋服で隠せないパーツに生じた症状を指すのが一般的です。

今回は、上記の3部位に残ってしまった外貌醜状の後遺障害等級認定について、その基準などを詳しく確認していきます。

醜状の後遺障害等級とは?

外貌の醜状における後遺障害では、7級12号・9級16号・12級14号という3つの等級が用意されています。

著しい醜状に分類される7級12号では、最も高い裁判基準で1,000万円、自賠責基準で409万円の慰謝料額になる仕組みです。

これに対して醜状となる12級14号では、裁判基準であっても290万円、自賠責基準では93万円という形で、かなり金額が安くなってしまう難点があります。

頭・顔・頸部における醜状と後遺障害等級認定

頭部の外貌醜状の後遺障害等級は、下記のとおりそのサイズによって基準が異なる仕組みです。

・7級12号  手のひら大以上の頭蓋骨欠損 もしくは 手のひら大以上の頭部瘢痕
・12級14号  鶏卵大面以上の頭蓋骨欠損 もしくは 鶏卵大面以上の頭部瘢痕

ここで指す手のひらというのは、手の指を含まないサイズとなります。

また醜状では、交通事故によって負った外傷だけでなく、手術で生じた物についても後遺障害の認定対象となる仕組みです。

この他に顔面の外貌醜状については鶏卵大もしくは10円銅貨、頸部に関しては鶏卵大もしくは手のひら大で後遺障害等級認定のサイズ判断をする形となります。

上肢における醜状と後遺障害等級認定

肩の付け根から指先までの上肢の露出面に、人目につく以上の傷痕や瘢痕が残った場合も、後遺障害等級認定の対象となります。

上肢醜状における後遺障害は、露出面に手のひらサイズの醜い痕を残すものという14級3号の1種類のみとなります。

後遺障害から算出できる慰謝料金額としては、自賠責基準で32万円、裁判基準で110万円ということで、顔や頭と比べてかなり低めの設定になっているようです。

下肢における醜状と後遺障害等級認定

短パンやスカートを穿いた時に目立ってしまう下肢についても、手のひらよりも大きく醜い傷痕であれば、後遺障害等級認定の対象となります。

また外貌醜状では、交通事故による傷痕だけでなく、線状痕や色素沈着、血腫、ケロイドなどについても条件に合えば認定可能となる形です。

医療技術が進歩している今の時代は、形成外科での放射線治療や縫合といった治療法により、傷痕やケロイドをある程度まで目立ちにくくすることも可能となっています。

しかしこうした治療を行っても結果的に消えない傷も非常に多く見受けられますので、どのタイミングでドクターから後遺障害診断書を書いてもらうかの判断も適正な慰謝料請求を行う上では大事なポイントになってくると言えるでしょう。

この診断書を書いてもらう症状固定にはさまざまな注意点がありますので、治療費の支払いを含めた多くの部分で判断が難しい場合は、早めに交通事故関連トラブルに強い弁護士に相談をするのが理想となりそうです。

また醜状の場合は、等級として定められている症状以外でも等級認定されるケースが多く存在しますので、交通事故で負ったケガによって人目につく程度以上の傷などが残っている場合は、その判断を仰ぐといった意味でも早めに法律事務所に相談をするのがおすすめとなるでしょう。


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